ギターを弾く皆さんが抱える最大の疑問、
「どうすれば本番で緊張せずに演奏することができるのか?」
私も何度もご質問をいただいたことがあります。
しかしこれに関してずばりお答えすると、
緊張しない方法はありません。
プロの方でも皆さん、緊張されています。
もちろん弾きなれた曲や、皆さんとお話ししながら進めるような
アットホームな演奏会であれば、緊張は和らぎます。
しかし、大きなホールでの演奏、またコンクールとなれば本当に緊張します。
実際、私も先日のGFAでは気を失いそうになるくらい緊張していて、
演奏中の記憶はほとんどありません。
しかしその緊張というのは、決して悪いものではありません。
「いい緊張」をすることが、演奏をより楽しく面白いものにしてくれます。
そもそも何故、舞台に立つと緊張するのか?
それの多くは、人前に立つからこそ、
「いい演奏をしなければならない」「ミスをしてしまったらどうしよう」と
自分で自分にプレッシャーをかけてしまっていることによります。
いい演奏とは何か?
もちろん、ミスが少ないに越したことはありません。
しかし生演奏を聴く上での醍醐味というのは、
「ミスがないこと」を優先した慎重な演奏ではなく、
生でしか体感することのできない「その人が作り出すその瞬間の音楽」であり、
会場に伝わる空気感や呼吸であると私は考えます。
「ミスをしないように」ということばかりに集中してしまうと、
さらに緊張してしまい、また自分自身の音楽も聴こえなくなってしまいます。
ミスに捕われるのではなく、どんな音楽が作りたいのか、
聴いている人に何を伝えたいのかを考え、表現していくことが重要です。
「こうなりたい」「こう弾きたい」をイメージする
演奏しているとき、自分の中の音楽を大きく作り、
その音楽に集中することでミスは気にならなくなります。
以前のブログでもご紹介しましたが、
本番を控える生徒に必ず勧める練習法より
演奏をする上で、ミスは必ず起こります。
練習によりミスを少なくすることはできますが、
プロの方でもミスはあります。
しかし、重要なのはミスが起こった後の処理なのではないかと思います。
プロの方は、ミスをしても歌い続けています。
そのため音楽が止まることがなく、そうすると聴いている側にはほとんど分からないのです。
このように音楽に集中しているかどうかが
ミスが目立つものにするか、目立たないものにするかを決めます。
音楽に集中するためにも、イメージを作る訓練をしていきましょう。
ここからは、イメージを作る訓練として私が試していたことをご紹介いたします。
私は集中のスイッチを入れるために、
舞台の上で「尊敬するギタリストになりきる」ということをしていました。
例えば皆さんも、その曲を弾くにあたり参考にしたギタリストがいらっしゃるかと思います。
その音楽を参考にしたギタリストの演奏やイメージを自分に重ね、
「自分」として弾くのではなく、そのギタリストになりきって弾きます。
音楽を作るにあたり、良いギタリストの「真似をする」ということもとても重要です。
その人の表現や演奏中の腕や体全体の動きをイメージし、
「自分に重ねる」「真似をする」ということを行ってみてください。
この感覚に慣れることで、「集中のスイッチを入れる」という感覚を掴むことができます。
自分から意識を離し、イメージを作ることで、音楽に集中することができます。
集中をするという感覚がわかれば、
自分自身として音楽を作り出すこともできるようになります。
音楽に集中することでミスは気にならなくなり、
より演奏は面白く、音楽のスケールもとても大きくなります。
是非ご紹介した「集中のスイッチ」をコントロールできるように訓練してみてください!
ちなみに、私がほとんど記憶のない状態で演奏している映像がこちらです。笑